僕の星

彼の女友達

 空手部の仲間4人は、名古屋城近くのファミリーレストランで待っていた。春彦は席に着くと、双方を紹介した。

「向こうから山本、竹内、中西、吉田ね。で、この人は森村里奈」

 里奈は彼らを紹介されて、初めて"吉田君"が女性だと知った。他の3人は男性である。

「あの……よろしくお願いします!」

 シャチホコばって頭を下げると、吉田はにこっと笑う。

「滝口のカノジョさん。はじめまして」

 吉田は目鼻立ちのはっきりした美人で、笑顔は大輪の花が咲いたようだ。口調もはきはきとして、清々しい。
 きれいな人だなあと、里奈はしばし見とれた。

「女子は私ひとりなのよ。むさくるしくてゴメンね」
「いえ、そんな……」

 と言いながら、里奈はホッとしている。男ばかりだと思っていたので、吉田の存在はありがたかった。

 男子3人は里奈に興味津々のようで、春彦との馴れ初めを口々に訊いてきた。里奈が戸惑っていると、吉田が間に入り仕切ってくれた。

「はいはい、まずは注文しようよ。あんた達、お腹空いてるんでしょ」

 男達は「オ~ス」と素直に従う。里奈は少しドキドキしてきた。

 テーブルは6人掛けで、こちらは奥から春彦・里奈・中西という順で座り、向かい側には春彦の正面に吉田が、その隣に山本・竹内といった順に並んだ。
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