僕の星
春彦の焦り
里奈が席に戻ると、皆一斉に注目した。
「今の人、誰?」
中西が興味津々の顔で質問する。彼はドリンクバーが一番よく見える位置に座っていた。
「会社の、同じ課の人です。仕事で来てたみたいで……」
「ああ、会社の知り合いね。なるほど」
うんうんと納得するが、ちょっと首をひねる。
「でもさ、あの人誰かに似てなかった?」
「そうそう、俺もそう思った」
山本も興奮気味に同意した。
(似てる……?)
里奈はハッとして春彦を見るが、彼は窓の外に目をやっている。
どうしよう――
海老沢の話をした時、春彦は面白くなさそうだった。その理由に、ようやく思い至ったのだ。
だけど、もうどうしようもない。
山本がパチンと手を打ち、はしゃいだ声を上げた。
「そうだ、春彦に似てるんだ。なあ、吉田も見たろ?」
「見た見た! 驚いちゃった。今思い出すと、兄弟みたいに似てたよね」
吉田が大きな目をさらに見開く。なぜか、ずいぶん嬉しそうな表情をしている。
盛り上がる仲間達を、里奈は少し大げさだと感じた。
ぎこちなくカップを取り上げると、コーヒーを口に含む。春彦は窓の外を向いたままだ。
「今の人、誰?」
中西が興味津々の顔で質問する。彼はドリンクバーが一番よく見える位置に座っていた。
「会社の、同じ課の人です。仕事で来てたみたいで……」
「ああ、会社の知り合いね。なるほど」
うんうんと納得するが、ちょっと首をひねる。
「でもさ、あの人誰かに似てなかった?」
「そうそう、俺もそう思った」
山本も興奮気味に同意した。
(似てる……?)
里奈はハッとして春彦を見るが、彼は窓の外に目をやっている。
どうしよう――
海老沢の話をした時、春彦は面白くなさそうだった。その理由に、ようやく思い至ったのだ。
だけど、もうどうしようもない。
山本がパチンと手を打ち、はしゃいだ声を上げた。
「そうだ、春彦に似てるんだ。なあ、吉田も見たろ?」
「見た見た! 驚いちゃった。今思い出すと、兄弟みたいに似てたよね」
吉田が大きな目をさらに見開く。なぜか、ずいぶん嬉しそうな表情をしている。
盛り上がる仲間達を、里奈は少し大げさだと感じた。
ぎこちなくカップを取り上げると、コーヒーを口に含む。春彦は窓の外を向いたままだ。