いつか記憶が戻るまで
ナナと一緒に、住宅街を歩いていく。ある目的地をめざして。


30分ほどかけて住宅街を抜けると、周りは一気に田舎になった。


田んぼを耕している人が、「おはよう」と挨拶してくれたから、私も軽くお


じぎをして返した。田舎は静かで好きだ。ガヤガヤうるさい街中より、よっ


ぽど。私は、いろいろあって人が嫌い・・・というより、苦手になってし


まっている。だから、挨拶されてもお辞儀で返すのが精一杯なんだ。


田んぼや畑が並ぶ中にある細い一本道を、ナナと一緒にしばらく歩いた。


サァァァ・・・


私の顔の横を、六月らしい生暖かい風が通り抜ける。なんだか空気がキレイ


なきがする。やっぱ田舎って好きだなぁ・・・。


そんなことを考えながら歩いていくと、いつもの目的地に到着した。


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