放ったボールが虹を描けば
「_______傑、スランプっぽいんだよね」
ス、スランプ……
「夏休み明けてからどうにも調子悪くて。
その前が良かっただけに本人も戸惑ってててさー。」
そっか…………
スランプ、だったんだ………
“夏休み前は良かった”って、
それって、私が見た篠崎先輩のことだ。
「それって……
どれくらいで抜け出せるものなんですか…?」
私は、スポーツとかあまりやったことないからわかんない。
「んー。
気持ち落ち着かせたら大丈夫だとおもうけど………
あと大会まで1ヶ月だし、かなり焦ってるみたい。」
「そうですか…………」
『 絶好調の先輩の姿 』
その言葉に、篠崎先輩が複雑そうな顔をしたのは、
今の篠崎先輩は、
絶好調ではないってことだから、か……
なんか、悪いことしちゃったかな。
せめて、私にできることはやりたい。
篠崎先輩の、力になりたい。
そう、切実に思ったころ、バスケ部の練習は終わった。