ポンコツ同盟

しばらくして、哲兄だけ下りてきた。

「晩ご飯作るね。」

「哲兄ごめんね、勉強中なのに。」

「何言ってんの。食事は俺の担当でしょ。洗濯とか掃除とか、二人がいつもやってくれてるのに。」

やっぱり哲兄は優しい。

「…なあ兄貴、荒川ってやつはいい人だからわかるんだけど、なんで樋口ってやつと友達なの?あんな非常識で失礼なやつ。」

拓兄が眉間にシワを寄せながら聞くと、哲兄は一瞬驚いたけど、すぐに笑った。

「俺さ、実は高校入ってはじめのうち、友達出来なかったんだ。それどころか、クラスメートとまともに目も合わなかったし話さなかった。」

やっぱり哲兄、友達出来なかったんだ。

< 101 / 377 >

この作品をシェア

pagetop