ポンコツ同盟

梶原優人、これが彼の名前。

俺より10センチくらい背が低くて、背が高い俺を恨めしそうに見上げて拗ねる顔も可愛いし、背を伸ばすために牛乳を欠かさず飲んでるのも可愛い。

そんな彼を守りたいと思ったのは、はるか昔だったのかもしれない。

中2のとき、優人に初めての彼女が出来た。ショックだった。はじめは、親友に彼女が出来たことの寂しさとか、先を越されたことへの嫉妬とか、羨望とか、そんな気持ちだと思っていたが、違った。

友達と恋バナしていて思い浮かぶのはいつも優人だったし、優人が俺以外の人と仲良くしてる姿とかイライラしたし、優人が彼女の惚気を話すたびに、泣きそうになった。

幼い俺には、この気持ちをひとりで処理出来なくて、もうひとりの幼なじみに打ちあけてしまった。こいつも小さい頃から一緒の加藤咲子だ。

< 141 / 377 >

この作品をシェア

pagetop