ポンコツ同盟

翌日、匠の泣きそうな顔を思い出すと心が苦しくなったが、私にはどうすることもできない。それでも匠が、匠自身の力でお父さんを説得して、優人くんと同じ大学を目指すっていうのなら、私もちゃんと認めて応援する。自分のやりたいことをねじ曲げてでも、友達と同じ大学に行きたいのだろうか。

でも確かに、学校の中で出会った友達と一緒に居たい気持ちは分かる。社会人になると気の許せる友だちなんて簡単にできないし、学生時代の友達は一生大事にしろなんて言われるくらいだから、気持ちはすごく分かる。

分かるんだけれども、私は臨時とはいえ高校の教員をしている。そんな理由で大事な将来を決めてもらいたくない。

「はあー。」

「都築先生、ため息なんて珍しいですね。」

「あっ!すみません、」

学年主任の相良先生に声をかけられて、慌てて顔を上げた。真面目だけど優しくて、懐の広いお母さんみたいで尊敬している先生だ。

「お疲れですか?」

「あ、いえ、疲れてるわけではないんです。ちょっと家庭のことで…あ、家庭の問題を仕事に持ち込んじゃいけないですよね!気をつけます。」

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