ポンコツ同盟

そしてそのまま帰ってこなかった。

次に来たのは警察からの電話。例の詐欺かと思った。というより、詐欺であることを願った。

でもそれは紛れもなく事実で。

兄はケーキを受け取って帰る途中、ダンプカーに轢かれた。即死だった。

警察から聞いた話によると、兄が信号を無視したらしい。急いでいたようだ。

ケーキ屋さんが言っていた。

「お兄さん、嬉しそうに話してたんです。可愛い妹の誕生日なんだって。でもちょうど雨が降りだして、慌てて店を出ていきました。」

私はその日から、ケーキを食べられなくなった。

雨が嫌いになった。

自分の誕生日が嫌いになった。

私なんて生まれてこなければ良かったと思った。

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