伝えたいこと。
元通り。
「いずみ、別れよ」

突然いつもの軽い流れで彼から出た言葉。
私たちの間に、雰囲気なんてものは存在しない。
「そだね。別れよっか」
なんのためらいもなく、彼の言葉に返答した。
遊びだったわけじゃない。
ただ、告られたから。好きって言われたから。
断る理由なんてなかった。

付き合い始めたら好きになるかもしれない。
時間が自然と私たちの関係をそれらしくしてくれるだろうと思っていた。
だけど、現実はそんなに甘くないようで。
いくら時間が過ぎても友達の壁を壊せなかった。

付き合い始めても、やっぱり友達は友達。
正直、彼氏だなんて全然思えなかった。
「別れよう」と言われた今、辛いとか悲しいとか・・・
そういった感情は一切ない。
この関係を終わらせたくないなんて、微塵も思わない。

だって、友達だから。

「じゃ、またな」
「うん、またね」

これでまた、友達に戻る。
ただの友達。本来あるべき姿。

恋人ごっこが、終わる瞬間。
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