下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
係長はどんどんわたしを引っ張り、アパートの階段を上り鍵を取ると、中に入ってわたしをベッドに押し倒す。


「どういうつもりだよ?カナって告られて簡単になびく女?オレじゃねぇの?」


「…じゃなかったんです」


「何が?」


「告白したあの時、榎本くんと一緒にせせらぎさんの水ようかん買ってて…。本当は榎本くんの後をついて手を握った、って…思ってて…」


「は?じゃ“好き”だっつったの、榎本への告白?」


「言えなくて…ごめんなさい…」


「そのミスと嘘、“ごめん”で取り返しつくのかよ?仕事とかシェアとかで償いきれんの?これ以上ヒトの気持ち、弄ぶつもり?」


「そうじゃないんですっ。わたし…うまく言えないけど…係長と…係長がもっと知りたく、て…」


「へぇ…。知りたい?」


「…はい」


「じゃ、脱げよ。オレに“全部教えてください”って、喘いでみせろ」


「そんな…っ!」


「できねぇの?知りたいとか上っ面だけの誤魔化しじゃねぇか。できねぇならお前とはこれっきりだ。じゃあな」


上に乗ってた係長は冷たい目でわたしを一瞥すると、後ろ姿を見せて玄関へ向かう。


その後ろを見て、どうしようもなく悲しくなる。


仕事を教えてほしいとか。


自信を持ちたいとか。


それが欲しいんじゃなく。


でもだからって、恋か愛なんてわからない。


わからないけど係長とのこれっきりなんて嫌で。


サヨナラなんて痛くて。
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