こんな私が、恋したみたいです。
そう言って、あやのちゃんは財布を持って、私の手を引いて、校外に連れて行く。



「りっくんになったんだね〜」




ニヤニヤと笑って私を見るから、私もおかしくて笑ってしまう。




「そー」




「てか何、いろいろ思い出したの?」





「いろいろってか、ほぼ一部ってか」





あれ以上のことはわからない。





だけど、知りたければりっくんが教えてくれるようになった。




それを信じるしかないんだけど、多分、全部正解。




私の記憶の端々と、りっくんの言っていることが線になって繋がっていくんだ。





「へぇ〜、そういうもんなのかね」




よくわかんないけど、と付け足して、コンビニに入る。




あやのちゃんは、コンビニでお昼ご飯を買う気があるのかないのか、携帯ばかりいじって、なかなか決まらない。





「よし!戻ろう!」




突然携帯から顔を上げて、私を見る。





どうやら、とっくに決まっていたらしいおにぎりをひっつかんで、会計をした。




何をしていたんだろう。ひたすらおにぎりコーナーの前で携帯をいじっていたのはなんだったんだろう。





疑問に思いつつも、考えても仕方がないから知らないふりをする。







「あ、りっちゃんストップ」





校門を通り過ぎたところで、あやのちゃんが止まる。




何だろう、と首を傾げていても、答えは帰ってこなくて、そのまま2、3分立ち止まった。





本当に、何だろう。



何の時間だろう。





よく、わかんない。




「行くよ〜」



また私の手を引いて、歩き始める。




やっぱり、よくわからない子だ、と思いながら、きた道を戻って、部室の前かについた。





「目瞑って10数えたら入ってきてね」




「う、うん?」




最後までよくわからない。




「はい、スタート!」




そう言われて、慌てて目をつぶって、心の中で10数える。




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