こんな私が、恋したみたいです。
えっさほいさと小型の冷蔵庫を運んで、足でドアノブを回して部屋に入った。





「わーすごい!冷蔵庫だー!!」





思ったまんまの反応に思わず笑う。




コンセントを挿したらしっかりと稼働し始めて、あやのちゃんが容赦なくスプライトを入れたおかげで冷蔵庫はパンパン。




「夜ご飯行くよー」





「え!!」




楓先輩がまた薄化粧をして、私とあやのちゃんの手を引く。




だるいなぁ、と思いながら重たい体を持ち上げた。






「うっげえ」





またこれは随分と大盛り、いや特盛。





一年生の選手が盛ってるなら、私たちは少なくしてくれてもいいのになんて思う。





「いただき、ます」




ほっっっそい楓先輩は体の大半が胃袋なのではないかと言うぐらいペロリと食べた。




「しんどくね?」





「しんどい」




半分ほど食べたところで、2人でヒーヒー言っていた。




「あやのーそれ食べる」





「あ、やったー!」





あやのちゃんは、彼氏にご飯を渡す。





「完食ー!!」




嘘つけ、とぼやきながら机にガンとおでこを乗せた。





「残すなよー!」





顧問がそう言って、お酒を飲んでガハガハ笑う。






「りっちゃん早くー!戻りたい」





「…しんど」




お腹をさすっても全然良くならない。





「りっちゃんいらないのー?」





どかっと、隣の空いていた椅子に誰かが座る。





「…いらない」





頭を上げて、その人を見た。




「じゃ、俺貰うー」



「…胃袋、どうなってんの」




りっくんは、私の箸を掴んで皿をずらしてそれを食べ始めた。





ヒュー、なんて冷やかすみんなのことは私には見えない。





「んー、多分ここからここまで胃袋」





首下から膝までを指差したりっくん。






「へへっ。心臓は?肺は?腎臓は?」





「むずいこと言うなって理系〜」





私を肘で突いて、お茶を飲む。





「りっちゃん帰ろー」





「え、あ、」





あやのちゃんが飽きて私の手を引く。楓先輩も立ち上がった。



でも、まだりっくんが。




「大丈夫だよ」




ニコッと笑ったりっくんを見て、私も笑う。





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