こんな私が、恋したみたいです。
通夜葬式の日程のお知らせの紙。



「え、」



通夜は、大事な大事な、試合の日



じいちゃんとの最期のお別れだ、行かなきゃいけないし、行きたい



だけど、試合にも、もちろん行きたい、だって、さっき、本当に今さっき、りっくんと約束した



私が膝巻いてあげるねって



「怒って、ごめんね」



涙を拭ったお母さんは



「あんた、この日試合でしょ?その後でくればいいから」



「え、いいの?」



「じいちゃん、即死じゃなかったから」



ばあちゃんが、喋り出す。



「最期は、りっちゃんの話してたよ」



「え?」



「りっちゃん、元気かなぁ。最近会ってないなぁって」


「それで、部活で今度決勝なんだって。って言ったら」



「そっかぁ。頑張ってるんだなぁ。一等賞取らなきゃなぁって」


「なに、それ」



無理、そんなの、聞いてない



「だから、通夜遅れてもいいから、絶対優勝して、絶対いい報告しに来なさい」



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