結婚の約束をしよう
結婚の約束をしよう −陵side−
「陵っ!危ないっ‼︎」

「…え?」


ガッシャーン‼︎



最後に聞こえたのは、友達のヤスの声と、耳が壊れそうなくらいの大きな音ーーー。

あぁ、全身が痛くてどうにかなりそうだ…。


「陵!…陵っ‼︎」

ヤスのオレを呼ぶ声が、遠くからこもって耳に届く。

返事をしたいけれど、おかしいんだ…何も見えないし、声もだせない。

意識がーーー遠のくのを、感じていた。



オレは、どうなったんだ…?

遠くの方から、救急車の音が聞こえる。


オレは…ヤスと自転車で……そう、学校から家に帰る途中だった。

ヤスの”危ない”という声が聞こえてくるまで、オレはよそ見をしていて、そのまま横断歩道を渡ろうとしたけど……気が付いたら目の前にトラックがーーー。

「あ、あのトラックに巻き込まれて…!」

知らない女の人が、駆けつけた救急隊員に状況を説明するその横で、ヤスが震えていた。


オレはいつの間にか、少し上の方から事故の状況を見ていたんだ。



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