僕と道化(ピエロ)と君の恋
 「でも……」

 「いいんだ、アユは気にしないで。単なる僕の自己満足だから、こうでもしなきゃ僕自身が納得できないんだ」

 そう言いながら、僕は涙を拭き顔を上げた。

 「じゃあ……何年後かに、もし私がまだ一人だったら、その時は貰ってもらうね」

 アユは笑顔で言った。

 洗練された笑顔ではない、はにかむ様な笑顔。

 今更の様に僕は、自分がその笑顔が好きな事を思い出した。

 「うん、まかせといて」

 
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