リアルな恋は落ち着かない
私より、頭一つ分以上大きな背丈。

ぶつかった衝撃に思わず見上げて声をかけると、彼は無表情に呟いた。

「いえ。おつかれさまです」

「・・・おつかれさまです・・・」


(相変わらず、クールだな・・・)


過ぎていく後ろ姿を、チラリと私は盗み見る。

いっこ上の私より、確実に仕事がデキるクールで真面目な後輩の彼。

かっこよくて隙のない佇まいは、年下であっても話しにくい。

 
(・・・なんて。私は男子全員話しにくいけど)


自分にツッコミを入れ、止まっていたエレベーターにささっと急いで乗り込んだ。

左にはめた腕時計で、再度時間の確認をする。


(うん!バッチリ)


約束の時刻には、きちんと間に合いそうだった。




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