【改訂版】異世界でわたしは恋をする
2 この国での生活
私がこの国に来て何日か経った。


何があるかわからないからと、ウィルの許可が出るまでずっと部屋で引きこもりの生活を送っている。

どうやら私がここで生活していることは、この城の中でもごく少人数の人しか知らないらしく、知っている人間も他言してはならないと命令されているようだ。

幸いイザベラやウィルが毎日部屋に訪れてくれるから話し相手には困らないし、身の回りの世話は全部イザベラがやってくれて、私は何不自由なく生活出来ている。



お姫様のような夢の毎日。


けど、やっぱり自分の元の世界には未練がある。

いつも寝る前に『朝起きたら自分の部屋に戻っていますように』と願いながら寝る。

これは夢なんだ、と。

朝起きたらいつもの見慣れた天井が目に入ってくるのを願って、眠りにつく。



でも目が覚めるとやっぱり彫刻された天井。


ああ、やっぱり夢じゃないんだ、とうなだれて起きる。

そのたびに、これは現実なんだと突きつけられる。



これが日課になっていた。


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