ねぇ 抱き締めて
あたしは、やっと落ち着いて…それでも哀ちゃんは抱き締めてくれた。

「哀ちゃん…ありがと。
もう…大丈夫だから。」

そっと…名残惜しそうに…手が離れる。

「辛い事があったら…言ってくれ。」


その哀ちゃんの顔は切なくて…思わず、目を瞑っちゃう。

「……さっき…朔って…言ったよな?
アイツが…関係してるのか?」


凄く温かい言葉。
だけど朔以外に…弱みなんか見せちゃいけないんだ。

いつか…お返しが来る。

あたしはゆっくり離れてって、いつもの小馬鹿にした様な表情を無理やり作った。


「別に……哀ちゃんには関係ないよねー。」

哀ちゃんの驚いた顔。
かーわいい。


「ぇ……ぁ…おい!!
杉宮!!!」


哀ちゃんが呼んでるのは聞こえた。
涙が溢れ出した。

ごめんね。
哀ちゃん。

イジメられてから…心配してくれた、ただ一人の人。



ありがとね…………。
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