窓の外は晴れ




その日は富田といろんな話をした

相変わらず、富田がなんの仕事をしているのか素性は定かでは無かったが、私はこうして富田と居る時間が増えていた。

よくこのホテルにも帰ってくるようになった。毎回セックスをするわけでもないし、愛人でも無いと言われた



裏っぴきでお金をもらっているわけでもなく、ただ連絡を取りここでこうして会話をしながらお酒を飲むだけだった



初めに富田が言った" 一緒にいてほしい夜だけ一緒にいてほしいだけだ"

その言葉の意味は、今の関係で合ってるのだろうか…
たまに考える事もあるけど、富田は笑顔だ。





富「そのネックレス、いつもつけてるな」




富田が指さしたのは、私の首にぶら下がっている金色の蝶のネックレスだった




美「お気に入りなんです、これ」



富「…その石は、ダイヤモンドとオパールか?
デザインもなかなか洒落てる。センスが良いな」



美「…ありがとうございます。」




富田はきっとわかっている
このネックレスを、円衣裕太から貰ったって事を。




富「なんだか、少し元気になったと思ったらまたそんな顔して…」




富田は私の顔をじっと見ながらいった




美「え?……」




そうガラスの壁に目をやると反射して私が映った

私の顔は今にも泣きそうな強ばった顔をしていた。…ひどい顔……





富「…美織、上に行くと決めたなら置いてきたものや、手放してきたものは思い出さない方がいい。
それが美織の進む道に、障害になるなら」



美「富田さんもそうしてきた?」




富田は何かを思い出すように、一瞬だけフリーズした




富「…あぁ。じゃないと、置いてかれたものが報われない気がしてな。」



美「間違いないね…」




私はグラスのボジョレーヌーボーを一気に飲み干した


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