窓の外は晴れ





富田と手を繋いだまま、私達は下に降りた。




富「電車で行くのか?駅まで送らせてくれ…」




私は頷くと車に乗り込んだ。
送ってくれたのは東京駅




美「…富田さんは、これからどうするの?」



富「会社は下の奴に任せて、俺は田舎に帰るよ…もう歳だしなぁ」




ここまで登りつめた地位を手放すのはどれほどの勇気がいる事だろう

私は心から、富田を尊敬した。




美「…本当にここで、お別れなんだね」



富「あぁ、もう会うことはないかもな」




暫くの沈黙の後、私達は強く抱き合った




美「…富田さん、ありがとう。
富田さんが居たから、私はここまで来ることが出来た。
生きている事が出来た。
そして今から…ずっとずっと想い続けてた人に会いに行く事が出来る」



富「泣くな。
これからいっぱい幸せになれ。
俺の見た事無いような笑顔で沢山笑え。沢山沢山、笑え!!」




そう言った富田さんは笑顔だった
私も涙を拭いて、笑顔を見せた




富「行っといで。
お互いに…幸せになろう」



美「ありがとう。…本当にありがとうございました」





私は富田に深く深くお辞儀をした
そして改札に向かって歩き出した

何度も止まって、振り向きたい衝動にかられた。

だけど今止まる事はしたくない
前だけを見て歩きたい…





改札を抜け、ホームに出た私は空を見上げた




美「……遠い。」




空を見上げるのは何年ぶりだろう

とても綺麗な青空はどこまでも広くそして高く遠かった。


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