迷走女に激辛プロポーズ
第一章 俺たち結婚する?

私たちの心の中にはお互いに忘れ得ぬ人がいる。
それでも進めるのだろうか……。



行き付けの隠れ家はハイクラスな会員制バー・セカンド。

大通りから一本逸れたビルの谷間にひっそりと佇む、しっとりと大人の雰囲気が漂う癒しの空間。そして、そこは、現実逃避をする哀れな子羊たちの清涼剤……的な場所。

このバー、実は業界人ご用達の店だったりする。だから、突然予告も無く、プロやセミプロミュージシャンが曲を奏でたり、著名なデザイナーのファッションショー……なんてこともざらにある。

サプライズ目当てに通う常連客も多いが、私はこの店の家庭的な料理が気に入っている。
佑都と二人の時、夕食はたいていここだ。

一つ謎なのは、どうして彼がこのバーの会員になれたかだ。
この店の入会条件は、かなり厳しいと聞く。同伴者についても同様だ。

だが、七月七日、今日それに輪を掛けたような、さらに不可思議なことが起こった。
それは佑都のこんな台詞からだ。
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