あなたとホワイトウェディングを夢みて
第三章 嘘の告白

 今日中にデータを提出すると約束したものの、郁未のただならぬ雰囲気に飲まれた留美は、専務室へ行くのを躊躇する。
 時計の針を眺めた留美は、今日の仕事の〆として、退社する三十分位前に専務室へ行くと決めた。
 まだ郁未と顔を合わせたくない留美は、落ち着かない気分を鎮めるために、時間まで他の部署から依頼されたフォーム作成の作業に取りかかる事にする。

「うーん?」

 以前のデータと指示書を見比べながら留美が頭を捻っていると、隣の席から田中が留美のパソコン画面を覗きこんだ。

「問題でも起きたの?」
「これなんですけど」

 留美が指示書を見せると、田中は真面目に読み上げる。

「ああ、これ。さっき依頼が来た分ね」
「はい。前回の時は営業部が売り上げ比較するのにグラフ化して欲しいって、数字が連動するように作っていたのに、今回はその指示がないんですよ。必要ないんですかね?」

 留美が営業部からの指示書をもう一度確認するも、それについては何も書かれていなかった。田中も留美と一緒に指示書のチェックをしたが、留美の言う通りそれについての指示は全くない。

「これって来年度から使うフォームでしょう? 一度作成したら数年間は使用するから営業部に確認取った方が良いわよ」
「ですよね」
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