狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
25 大団円にはまだ早い
……………
早朝に、彼は自分の家に帰っていった。

「辛かったら休め、な? 
無理させたから…」

帰り際の彼は、名残惜しそうに私を抱き締めて、いつまでも離そうとしなかった。

この男(ヒト)は、こんなに甘いヒトだったのだろうか……

そうなると私も寂しくて、今生の別れでもないのに、危うく泣きそうになってしまった。




彼はそう言ってくれたけど。

“幸運のザシキワラシ” どころか “ビンボー神” になってしまった私としては、責任を感じずにはいられない。

少しでも力になれたなら……

そう考えて
妙な違和感の残る、気怠い身体を引き摺って、今朝も会社にやってきた。 
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