狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
10 恋愛談義
次の日。

カチョーの用事を昼には終え、冷やしウドンをご馳走になった私は、社用車のライトバンを運転し帰社していた。

工事の渋滞に嵌まった車がノロノロとしか進まない中、助手席のカチョーに声をかける。

「昨夜は、随分とお楽しみだったみたらしいですネ」
 
「ああ?
何で赤野が知ってんだよ、そんなこと」

助手席を大きく倒して寝ていた彼は、心持ちグロッキーな顔を向けた。

「ま、イロイロと情報がね」
「ちっ、誰だよ。余計な事を」

面白くもなさそうに彼は窓の外見た。
あれだけ飲んで、お酒のニオイを残さないのはサスガだ。


「あーあ、狡いですよカチョーは。
私からは出会いのチャンスを奪っといて、自分ばっかり…」

昨夜無理矢理帰らされた私はつい、溜め息とともに恨み言をこぼした。


「何だよ “出会い” って。
お前まさか、うちの課に誰かイイのがいるのか?…誰だ」

「いや、そういう訳じゃないんですが…」
何だかヤケに食いついてくる。


「……三上か」
苦い声。
私はフルフルと首を振った。
< 81 / 269 >

この作品をシェア

pagetop