狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
11 クリスマス・デート
念願のカレシができる気配もなく、月日は淡々と過ぎてゆく…


あっという間に12月。

のほほんと毎日を過ごすうちに、
駅ナカでもショッピング街でも、家でテレビを見ていても、クリスマス・ソングがイヤと言うほど追いかけてくる、そんな季節になってしまった。

「~~~♪」
「赤野さん、さっきからそればっかりね」
水野女史が、眼鏡を拭きながら訪ねた。

「いやぁ。この曲、頭の中をローテーションしちゃってるんですよね~。
クリスマス、クリスマスって世間は浮かれっ放し、全く嘆かわしいことです!」

私はプリプリ怒りながら、手元のプリントにグリグリと落書きをした。

「ああ、そう言えば赤野サンはイブの予定があるの?」

向かいから、三上さんが口を挟んだ。

「……それ、聞きますか?」
 
ピリッ。
力を入れすぎたボールペンで、紙に穴が開く。

「アッハッハ、ゴメンゴメン」
屈託なく笑う彼に、私はプイッと顔を叛けた。

「怒るなよ、可愛い顔が台無しだよ?…そうだ、良かったら俺らと遊ぶ?」

「え?可愛い……
あ、でも三上さんは…」
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