Tower of Fantasy
サーラは椅子に座って落ち着いた。


「縁談?」


リューロが短くそう問うと、サーラは小さく頷いた。

それを見た彼は小さくため息をつき、ルイスに目を向けた。


「…だとよ。で、どーすんの?」


「…え?」


ルイスは窓の外を見ながらぼんやりしていた。


「…どうするって、」


「いいのかって、聞いてんの。ルイス=ビルフィセル?」


「…何が言いたい?」


「今。サーラを救えるのはお前だけだぜ?」


「…」


ルイスはそっと息を吐いた。

ルイスはリューロが何を言いたいか分かっていた。

アレフもルイスの本名を聞き、ハッとした。

サーラとアクアは、訳が分からないという風に顔を見合わせた。


ルイスはそっと目を閉じ、…開いて、サーラを見つめた。


「サーラ」


「なに?」


「俺と、結婚してくれないか」


「…え?」


サーラは冗談かと思いルイスをまじまじと見たが、彼はいたって真剣だった。


「きゅ、急に…どうして?それに、私はおばあさまのせいで…その…」


「家柄は問題ない」


「え…?」


「俺は、ルイス=アージェン=ビルフィセル。ビルフィセル家は、セレスディア家と同じかそれ以上のシルバン屈指の名家だ」


「そ、そういえば…縁談に、ハーネット=K=ビルフィセルってあった…」


「…ハーネットは、俺の兄貴」


「そ、そうだったんだ、す、ね?」


サーラは何が何だか分らなくなってパニック状態だった。

そんなサーラを見て、ルイスは少し微笑んだ。

そして、


「私ルイス=アージェン=ビルフィセルは、サリスティー=グローシア=セレスディアに、婚約を申し込む」


と言い切った。


「え…え…その…ちょ、っと、考えさせてー!」


サーラはそう叫ぶと、アクアを連れて部屋を飛び出し、自室に走って行ってしまった。
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