Tower of Fantasy
また別の一室。


「おい!なんで師匠が召使い扱いなんだよ!」


「召使いではございません、執事でございます」


「同じだろ!」


「リューロ、やめなさい」


「なんで師匠はそれでいいんだよ!なんで娘の婚約記念パーティーで執事なんかでいいんだよ!」


「しょうがないんだよ、僕は所詮元冒険者だ。グローシア様はサーラの父親は身分が高い者だと思わせたいらしいからね」


「それでも…!」


「あなたもですか。いい加減にしなさい」


突如冷たい声が部屋に響く。


「グローシア様…」


「おいババァ!」


「リュ、リューロ?!」


「…わたくしを、なんと呼んだの」


「ババァつったんだよ!アレフ師匠を執事扱いするって何事だ!」


「あなたのような言葉の使い方も知らぬ下賤な者と付き合っているからよ」


「俺のことは関係ねぇだろ!サーラの父親はアレフ師匠だ!」


「それがどうしたというの?」


「はぁ?!」


「誰か。この無礼者を…」


「お待ちください!」


「サリスティー。はしたないことはおやめなさいと言ったでしょう」


「おばあさま、私は父さんを召使い扱いするのならパーティーに出ませんそして私の仲間を摘み出せとなど仰らないでください」


「…アレフの件は仕方がない。こんなのでもあなたの実の父ですからね。しかしこの男は…」


「失礼いたします、グローシア様」


「ルイス…!」


「あら、どういたしました?ルイス=ビルフィセル殿?」


「彼は僕の仲間でもあります。どうぞお怒りをお沈めください」


ビルフィセル家の息子にそう言われてはさすがのグローシアも怒りを収めるしかなかった。


「…ふん」


鼻を鳴らして去っていった。
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