Tower of Fantasy
村の外れにある大木のところまでやってきた。


「さぁ…僕が見送れるのはここまでだ」


やっと日が昇ってきた東の空を見つめながらアレフが言うと、リューロとサーラの顔が引き締まった。


「ここからまっすぐ東に向かうと、街があって、その街には冒険者ギルドがあるはずだ。まずそこを目指すといい」


「わかった」


リューロとサーラが同時に答えた。


「じゃあ…辛くなったら、帰っておいで。気を付けるんだよ」


アレフはそれだけしか言えなかった。これ以上何かを言おうとすると、娘を引き止めてしまいそうで。

代わりに、ぎゅっと旅に出ようとする2人を抱きしめて。


「はい」


抱きしめられながら、リューロもサーラも涙を堪えていた。

やがて、アレフは2人を離し、しっかり微笑んだ。


「いってきなさい」




こうして、17歳のリューロと16歳のサーラは旅に出た。

彼らは世界を救う運命を、まだ知らない–––
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