私は暇じゃない





 信じたかったのに、と机に突っ伏しながら「女の勘で」と返す。

 まこちゃんの「あいつ、やっていいかな」と物騒な声が聞こえて、頭をあげる。まこちゃんの顔は今にも飛びかかってきそうな猫を思わせた。

 

「やっちゃおうか」

「……え?」



 亮平がさらっと言ったそれに、まじまじと見てしまう。
 今、ちょっと怖い発言しなかったか。



「だから、一発」

「よしきた。私の拳が唸るよ!」

「いや、ちょっと!まこちゃん落ちつこうか。空手使う気満々だよね!?」

「みちる」

「はい!?」



 立ち上がって構える可愛らしいまこちゃんに焦っていた私は、声が裏返る。
 亮平が、企み顔でいう。



「作戦があるんだが――――」



  ***

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