もう一度君に会えたなら
 お母様は二人の元に行くと、言葉を交わした。
 わたしもお母様のあとについていき、深々と頭を下げた。
 二人も挨拶をしてくれてはいたが、その表情はどことなく暗かった。

「部屋に戻りましょう」
「もう少しお話がしたい」
「また、日を改めましょう。あなたにも体調がすぐれない日があるでしょう?」

 お母様の説得に折れ、わたしは部屋を後にした。

 部屋に戻ってから、わたしはずっと考えていた。
 どうやったら彼が元気になってくれるのか分からなかったのだ。
 日がたてば元気になってくれるならそれでいいが、彼はこの家に来たときよりも疲れている気がした。


「どうかされましたか?」
「あの人がずっと元気がなさそうだから、どうしたら元気になってくれるのかを考えていたの」

 女性は困ったように微笑んだ。

「姫様と仲良くなれれば、少しは元気になられるかもしれません。でも、このことは他の方には言わないでくださいね」

「言わない。分かった。ありがとう」

 そう言われたこともあり、わたしは仲良くなる方法を考えることにした。
< 28 / 177 >

この作品をシェア

pagetop