クラリネット吹きはキスが上手いのかという問題について
「ねね、吹奏楽部にも一軍二軍があって、一軍はコンクールに専念して、二軍が野球の応援に行くって本当?」

「一軍二軍かどうかはアレですが、まあ、本当です」

「で、麻生くんは?」

「一年の夏に甲子園行きました」

「そのあとは?」

「コンクール組でした」

すごっ! 上手いわけだ!

思わず、テンションが上がってしまい、野球応援の話や、吹奏楽と管弦楽の違いについてなど、仕事と全然関係ないことについて質問しまくってしまった。

麻生くんは話が上手なわけではないけれど、一生懸命答えてくれた。

あぁ、いいなぁ。この、ちゃんとした感じ。
自分が認めてもらえてる気がして、安心するし、うれしい。




「ごめんねー、雑談ばっかで、全然相談にならなかったよね」

帰り際、謝ると、彼はすっきりした笑顔で言った。

「いいんです。お話できて、楽しくて、元気が出ました。また明日から頑張れます」

そりゃよかった。

そう言ってもらえると、うれしい。

すごく、うれしい。

すっごく……。

って、あたしってば喜びすぎじゃない?





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