復讐の女神
「え？」

「替えないっすよね。」

「あ、無いです」

「じゃぁ、それ乾くまで俺このままでいるんで」

「あ、いや、あの」

すると動揺するゆりを見て石井は意地悪そうな顔で
ゆりに近づいてきた。

「どうしたんですか？七瀬さん、目を逸らして。
もしかして男の身体見て意識してます？」

「せ、洗濯してすぐ乾かしますので」そう言ってゆりは
そこから離れようとしたその時だった。

後ろから石井に抱きしめられた。

ゆりはびっくりしてシャツを落としてしまった。

「なんか、こうしてると恋人同士みたいっすね」
石井はゆりの頭に頬を寄せながらゆりをぎゅっと抱きしめた。

「い、石井さん、私あまりこういうの慣れてなくて、その
朝からからかわないでください・・・」

「嫌です」

「石井さん！」

「七瀬さん、俺、七瀬さんのこと・・・」

その瞬間、ズキンと猛烈な痛みが石井の頭を貫いた。

「いってー・・・」

あまりの頭痛に石井はゆりから離れるとベッドの上に座り頭を抱えた。

ゆりは心配になり「二日酔いですか？」と聞くと
「あぁ、そうみたいっす。なんでこんな時に・・・」と
彼は痛そうに悔しそうに応えた。

ゆりはシャツを拾い上げるとすぐ洗濯に取り掛かった。

痛そうに顔を歪める石井を横目で見ながら
ゆりは、ふぅーと安堵のため息をしたのだった。


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