復讐の女神

なみだ

「お待たせしてすいません!!」

ゆりは、急いで待ち合わせ場所に戻ると
呼吸を整えながら石井に詫びた。

「いえ、約束の時間に遅れてしまったのは俺の方なんで。
それにしても会社とは逆方向から来ましたけど
どっかに行ってたんですか?」

「あぁ、はい!この先のグランドホテルの中で
時間を潰してて・・・」

「グランドホテル!?」

石井は少し驚いた表情をしたが
すぐに頭を切り替えるとゆりを居酒屋の方に案内した。

店自体はこじんまりとしていたが店内は大賑わいだった。
特に仕事帰りのOLやサラリーマンが半数を占めていた。
ゆり達は、店内奥の空いた席に向かい合って座ると
石井は背広を脱ぎ、ネクタイを緩め始めた。

「あつ・・・。この中すごい熱気っすね」

「そ、そうですね」

石井はシャツの袖を捲ると
血管の浮き出た逞しい腕が露わとなった。

ゆりは、ドキッとして彼の腕から目を逸らした。

「とりあえず頼みましょう。俺はとりあえずビールで」

「じゃ、私はカルピスサワーで」

石井は店員を呼び寄せると飲み物を注文した。
その際に、石井は耳打ちするように店員にコソコソと
何かを伝えているようだった。

店員が離れていった後、疑問に思ったゆりは聞いてみた。

「何かあったんですか?」

「え?あぁ、氷を多めにしてって頼んだんですよ」

石井は真顔でそう応えたが
ゆりはそれくらい小声で頼まなくても良さそうなのにと
腑に落ちない顔を露わにした。

石井はそれに気づいたのか
「いやーだって、まぁ、他の人に聞かれたら恥ずかしいじゃないですか」と言ったが
ゆりに「そうですか?」と聞かれて口ごもってしまった。

するとビールとカルピスサワーが到着したので二人は一先ず乾杯をした。
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