雨の怪物
三章

 由紀と先輩が付き合いだしたのは、ちょうど去年のコレぐらいの時期からだった。


 告白してきたのは、先輩からだった。


 ・・・『私たち、付き合ったら相性ばっちりだと思うのよね。』・・・。


 入ったばかりの弓道部。


 校門から出たあたりで突然言われた。


 学校に入ったばかりで、まだ右も左も分からない頃。


 唐突の先輩からの告白。


 わけが分からなかった。


 なぜ俺なのか?


 理由が分からなかった。


 なのに、馬鹿だから・・・。


 若かったから、告白されたことが嬉しかったから・・・。


 そんな唐突の告白に思わずOKをした。


 この世界に自分に恋心を持つ人間なんているはずないと・・・当時の自分は思っていたのだ。


 確かに、先輩の言うとおり、由紀と琴美先輩の相性は抜群だった。


 趣味もあった。聴く音楽も似たようなものだった。


 好きな食べ物も、嫌いな食べ物も同じだった。


 血液型占いも、相性占いも、すべてがすべてが100%を示した。


 ・・・・・・・だから、二人は別れた。


 あまりに同じすぎて・・・あまりに似たより過ぎて・・・。

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