雨の怪物
四章

 次の日。


「あ、おはよう。由紀。」


 違和感を覚えたのは、朝になってから。


 昨日、確かに由紀は先輩にあった。


 先輩に会い、実際に話をしたし、彼女の口から直に『家に連絡をする』・・・と聞いた。


 それだというのに、次の日。


 由紀に訪れたのは、いつもと変わらない朝だった。


 そう・・・先輩が帰っているにもかかわらず、由紀にはいつもと同じような朝が訪れていたのだ。


「おはよう。夢・・・そういえば、今朝、ニュース見たか?」


 もしかして、ただ偶然、自分がその手のニュースを見逃したと思い、夢に聞いてみる。


「あぁ、見たぞ。相変わらずでかい屋敷だな・・・。あれだけ大きければ、土地代だけでいるらになるのだろうな・・・。」


 お前は、大きな家を見て、真っ先に思うことはそれか?


「そこに、先輩が帰ってきたとか、そんなニュースは?」


 っていうか、帰ってきていたら、もっと大きな話題になっているし、ワザワザ俺がこんなことを聞かなくても、自然と耳に入ってくるはずだ。


 だから、あくまでコレは確認の作業。


「何を言ってるんだ?お前は?そんなコトになったら、今頃もっと話題になっているだろう?」


 その通りだ。


 夢の言うとおり、先輩が帰ってきていたら、今頃もっと大きな話題になっていないとおかしい。


 ・・・・・・・・・ならば、昨日、俺が見たのは?


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