君の瞳に映りたくて。



「ならさー、俺と付き合う?」


「……は!?」


「なに、嫌なの?不満?」


「い、いや…そういうことじゃなくてですね…
私まだ和泉が好きなんだよ?」


「知ってる。」


「香坂はいいの?そんなんで」


「そんなんでいいよ。
別に本気で彼女がほしいわけでもねーし。
俺は春翔と違ってモテたいわけでもねーし。
まぁちょうどいいかなーって。」


「いや…そんなんなの?」


「そんなもんだろ。
別に宮下は春翔のこと好きなままでもいいし。
彼女がいるとコクられてもうまく切り抜けられるし。」


「で、でも私特別かわいいわけでもないし、特別スタイルがいい方でもないし、バカだし物忘れ激しいし…」


「かといって特別ブスでもねーし、どちらかと言えば細い方だし、勉強は教えればできるし。物忘れ激しいのは諦めてるけど」


「…ほんとにいいの?」


「ま、宮下がよければ、だけど。
弄ばれんのが嫌なら、逆に弄んでやれば?
案外簡単に翻弄されるかもだし。」


「でも本気で祝福されたらそれはそれでショック。」


「まぁそれはしかたねーけど。
俺に好きな人ができたら終わり。
宮下が他に好きなやつできても終わり。
やっぱ春翔を好きで居続けると決めた時も終わり。
お遊びみたいだけど、嘘ではない関係だからな。
嫌ならちゃんと言えよ。」


「……いいよ。」


「まじで?」


「いや、なんで香坂が驚いてんの。
でも条件増やすよ?」


「なに?」


「期限付き。
12月31日までね。」


「なんで?」


「12月31日夕方の便で私は日本を離れるから。
ここ、ロサンゼルスに前すんでたの。
来年から私はまたここに住む。こっちの高校を卒業する。
だから、12月31日まで。」


「……まじかよ。
それ、春翔は知ってんの?」


「知らないよ。
でも、出発までには言うつもり。
一応友達みたいだし?
私が言うからそれまでは内緒ね。うるさそうだし。
あ、でも美乃里は知ってるよ。」


「…そ。わかった。
じゃあ今からお前は俺の彼女な。頼むわ。」


「うわー、変な感じ。
私彼氏とか初めてだよ。」


「ふーん。ならさぁ、手始めに
……キスでもしとく?」


「…………へ?」


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