君の瞳に映りたくて。

和泉said



***


はぁ、クリスマスイヴだってのに自主練か…虚しい。
祥也は宮下とデートか…クリスマスだもんなぁ。


……つまんねー。


まだ15時だって言うのにもう夕日かよ。
夕方気分だな、ったく。

…でも、この時間がこの河川敷は一番きれいだよな。
チャリでさっさと通るのはなんだかもったいない気もするな。
ここに宮下がいたら、もっとこの景色がきれいに見えるんだろうな。
あいつ、ここ大好きだし…いっぱい魅力を言ってくれそうで。


………あれ…?
あれって…宮下と祥也…だよな?

あいつらあんなとこでなにを…


…あれ、これ前にもあったような……
あれー?いつだっけ……って!
あいつ、また宮下にキスを…あれ、これも前に……

あのベンチで…俺がチャリに乗ってて…
……って考えてる場合じゃねぇ!

今邪魔しねーでいつ邪魔すんだよ!俺!
よっしゃ、行くぞ!


ガタッー


「え。」


や、やばい…落ちる!!


「うわぁぁぁぁぁ!!!」




……いった…くない…
あれ、痛くない、し……これ、前にも……


……そうだ、俺前にも…
それにあの公園で、あそこで、キス……

俺、なんで今まで忘れてたんだよ、あんな大事なことを…


「春翔!」


あ、祥也こっち来た。
よかった。邪魔できたんだな、俺。


「い、ずみ…?」


「なーにしてんだよ、舞桜。
返事、聞かせてくれるんじゃなかったのかよ。」



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