君の瞳に映りたくて。
私の瞳にはいつも君がいて

和泉said



***


「あ、おかえり。間に合った?」


あれからまっすぐ帰ってきた俺に、榑林が声をかけてきた。


「あぁ、間に合った。」


「そ、よかったじゃない。」


「………別に。あれならどっちでもよかった。
走っただけ無駄だったな。」


「え、どういうこと?」


「…別れた。」


「「え!?」」


俺の言葉に、榑林と優衣が反応した。


「っていうか舞桜ちゃんと付き合ってたの!?」


「まぁ一応。でも遊ばれてただけかもな。
意味わかんねー」


「そんなことない!
舞桜は…ずっと和泉のこと好きだった。
遊びだなんてありえない。」


「………悪いんだけどさ、今日やっぱ帰ってくんない?
俺盛り上がれるテンションじゃなくなった。」


「…そうね。
少しは一人で頭冷やした方がいい。

優衣、行くわよ。」


「えぇ!?ちょっと!」


榑林は怒って、優衣と一緒に部屋から出ていった。


「…祥也も帰れよ。」


「本気で思ってんのかよ。遊びだなんて」


「だって意味わかんねーだろ。
あいつ…俺と自然消滅する予定だったって。
そんなん…本気で付き合ってるやつがすることかよ」


「バカじゃねーの?
あいつがそんなことするやつだと本気で思ってんなら、お前はまた彼女のことをちゃんと見れてなかったクズだよ。
…あいつは、最後までお前の彼女でいたかったんだよ。
自分から振ることなんかできなくて、別れを切り出すことなんかできなかっただけだろ。
嘘でも、キライになったとか、冷めたとか言えなかったんだよ。
そんくらい、少し考えればわかるだろ。」


「だったらなんで別れる必要があるんだよ」


「お前のためだろ。
お前のことを本気で想ってるからだろ。」


「は?意味わかんねーよ。」


「…あいつんち、すげー金持ちだろ。
アメリカで起業して成功して、親父は社長なんだと。
あいつの弟が死んだことはしってるだろ?
だから、親父は舞桜の結婚相手に会社継がせようとしてんだよ。
なのに春翔と付き合ってたら春翔の夢を潰すからって、別れるしかなかったんだよ。

舞桜は、自分の夢は諦めて、その代わりに春翔には夢を叶えてもらいたいって思ってんだよ。
その気持ち、わかってやれよ。」


「…なんで祥也はそれしってんだよ。
祥也だってあいつと付き合ってただろ。
祥也ならいいと思ってたってことか?」


「ちげーよ。
…でも俺は別に構わなかったけどな。
俺は春翔みたいに夢とかねーし。

とにかく、あいつは人の気持ちを弄ぶようなやつじゃねぇ。
それは春翔だってわかってることだろ。
二度とあいつを傷つけるようなこと言うなよ。」


そういって、祥也も部屋から出ていった。



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