この夏の贈りもの
「そんな事はないよ、チホさんの能力は素晴らしいと聞いておりますから」


ニコニコと笑顔を絶やさずにそう言う住田唯人。


うぅむ。


敵はなかなかに手ごわそうだ。


「ま、まぁ念のために聞いておきましょうか。どんなことでお悩みですか?」


あたしは氷の溶けた水をひと口飲んでそう聞いた。


「はい、実は俺の通っている竹丘男子高校に幽霊が出るんです」


単刀直入にそう言って来た住田唯人に思わずむせそうになった。


こんなファミレスで幽霊話をする時は大抵が言葉を濁すものだけれど、この人にそういう概念はないらしい。


「そ、そうですか」


それにしても竹丘男子高校なんて聞いたことがない。


この人は一体どこから来たんだろう?


「その幽霊たちを成仏させてあげてほしいんです」


「はぁ、なるほど」


あたしの家によく来る以来となにも変わらない。


あたしの家は代々霊媒師としての能力を持っているため、こういう話は絶えないのだ。


「それならなお更父か祖父が帰って来るのを待った方がいいと思います。わかっていると思いますが、あたしは見習いの身ですから」
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