この夏の贈りもの
読書でもない、霊媒師の仕事でもない。


あたしが、本当のあたしが今好きだと思えるもの。


素足になって川に飛び込んだ。


冷たい水しぶきが上がり、小魚たちが逃げ出す。


服が体にへばりつくのなんて、気にならなかった。


とても冷たくて気持ちよくて、最高に楽しい。


自分の長い髪の毛が水面に漂っているのが見えて、あたしはその髪をポニーテールにした。


これで邪魔なものはすべてなくなった。


何も考えない、何も悩まない。


目の前にある水面とただ戯れる。


それがとても楽しくて、あたしたちの笑い声はいつまでも続いていたのだった。
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