この夏の贈りもの
古い学校
結局、あたしは自室でキャリーケースに着替えと除霊の道具を詰め込んでいた。


道具と言っても数珠とお経くらいなもの。


弱い霊が相手なら、これを使う必要だってないくらいだ。


「全く、お父さんってば他人事だと思って」


ブツブツと文句を言いながらも、住田唯人の顔を思い出すと思わずにやけている自分がいる。


そんな自分に気が付いて、あたしは強く左右に首を振った。


あたしは除霊をしに行くんだから!


住田唯人はただの依頼人!


変な気を起こしちゃダメ!!


「って、変な気ってなによぉ!」


自分で自分に突っ込みを入れて、服の山に顔をうずめる。


今まで出会って来た男性や、クラスメートたちはあたしと会話をするときに、あたしの顔は見ない。


その視線はいつだってあたしの胸に注がれているからだ。
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