この夏の贈りもの
あたしはそう言い、靴下を脱いで足を川に付けた。


ヒヤリとしていて、だけど冷たすぎない水が足に絡み付いてくる。


「ん~!!」


あたしは冷たい物を食べた時のようにキュッと表情を歪め、そしてほほ笑んだ。


「どうだ?」


「すっごく気持ちいい!!」


綺麗な水があたしの足を撫でて進んでいく。


そこに写っている柳の木は水の流れに合わせてグネグネと曲がる。


その様子が面白くて、あたしは自分の足を水面から上げたり、下げたりを繰り返した。


バシャバシャと足を動かしていると、水しぶきが頬に飛んできた。


それすらも気持ちがいい。


学校のプールみたいに塩素の匂いに包まれた水じゃない。


綺麗な、天然の水だ。


「ほら、そろそろ行くか」


そう言われて視線を移動させると、唯人はいつの間にか立ち上がっていた。


「え? もう?」


「行っただろ、学校までは少し遠いんだ」


そう言われてあたしは渋々水から足を上げた。
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