この夏の贈りもの
「昔の人の技術ってすごいだろ? まぁ、俺はこの校舎を見慣れすぎてチホほど感動しなくなっちゃったけどな」


唯人はそう言いながらも、自分の通っている学校を褒められて嬉しそうな顔をしている。


一歩校舎に踏み込めば、冷たい空気が頬を撫でた。


木製ならではの香りもしている。


「こっち」


唯人にそう言われてついて行くと、大きな階段が見えた。


一段の高さそれほど高くはないが、とにかく幅が広い。


複数の生徒が行きかってもぶつからないくらいの広さがある。


どこもかしこも木製だけれど、そのどっしりとした存在感のある階段には目を見開いた。


「すごいね……」


「さっきから、それしか言えないのか?」


唯人にそう言われてあたしは自分の言語力に限界を感じてしまった。


だって、本当にすごいんだもん。


「霊の出る教室は2階にあるんだ」


歩きながら唯人にそう言われて、あたしはようやくここに来た本来の目的を思い出していた。


「そっか。あたし幽霊に会いに来たんだった」
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