花の降る午後
あなたは誰ですか?

「あっ…いやっ!」

密やかな吐息が空気を震わす。

薄暗い部屋。
男女の営み。

先刻からあたしの上で動く、男の息使いが酷く耳障りだ。


早くして。

貴方じゃないって分かったから。

早くお仕舞いにして。



男が小さく呻き、ゴム越しに熱を感じた瞬間、吐き気がした…。




あたしは間違っているのかしら?

間違っているのかしらね?



*


排泄行為に満足しきった男は、仰向けになり忙しなく呼吸を繰り返している。


一瞬の快楽を得る為だけに、息を切らして頑張る男を見て、不思議に思う。

これは毎度のこと。



だらしない男を尻目に、さっさとベッドからおりてシャワーを浴びる。

一刻も早く見知らぬ男の跡を消すために。


温かなお湯を浴びると、少し気分が良くなってきた。

あたしがシャワーを終える前に、あの男は出て行ってくれるかしら。

眠り込んでいたりしたら…嫌悪のあまり首を締めてやりたくたなるだろう。

きっと。


*

シャワーを終え、バスローブを羽織って戻ってみると男の姿はなかったが、枕元に3枚の紙幣が置かれていた。

ボフッと勢い良くベッドに寝転がり紙幣を手に取ってみる。

「いらないのに・・・」

誰かに言い訳するようにポツリと呟く。


いつからだっけ?
こんなことをするようになったのは。

いつからだっけ?
あの人の夢を見るようになったのは。



あの人と巡り逢いたいと
心から願うようになったのは

いつからだっけ?

*



< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop