秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「はい。でも、このバラを活けてから」

「そうだな」


抱えきれないほどのバラは、この間雑貨店で購入した花瓶に納まった。


「きれい……」

「悠里の方がきれいだ」


彼の発言はいちいち私の鼓動を速める。
しかも、うしろから私を抱き寄せる彼の吐息が耳にかかって、胸が苦しいほどだ。


「今日は寝よう」

「はい」


彼の充血した瞳は、昨日私と同じように眠れなかったことを示している。

今晩はまた接待だ。
一分でも早く眠らせてあげたい。

着替えて寝室に行くと、彼はもうベッドに入っていた。


「伊吹さん?」


彼にそっと声をかけると、目を閉じたまま手を伸ばしてきて私を捕まえ、腕の中に誘う。


「ずっとこうしていたい」


それは私も。

彼の大きな胸に頬をくっつけると、彼の寝息がすぐに聞こえてきた。

こんなにヘトヘトなのに私のために走り回ってくれたんだ。
そう考えると頬が勝手に緩んできて、私も目を閉じた。
< 319 / 370 >

この作品をシェア

pagetop