秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「でも、不動産にいた頃をご存じなんですか?」
私はストレートに聞くことにした。
「いや。常務のところに行ったときに会っただけだ」
やっぱり。
でも、それだけでスカウトまでしてくれたのはどうしてだろう。
「お前はあの面会のために、何度も俺に電話をかけてきた」
「そう、でしたね」
それは覚えている。
まさか、自分の上司になるとは思ってもいなかった。
せっかく出向いてくれる社長にできる限りのことはしたいと、好みのお菓子や興味のある話題についてしつこく聞いた覚えが。
「あのとき、俺が無理難題を言ったのにもかかわらず、準備を整えた」
彼はお茶うけに、とある和菓子店の栗きんとんを指定してきた。
だけど、栗の時期しか作っておらずまだ今期の販売前だと知り、電車で二時間かかるその店に直接出向いて、少しだけ作ってもらえるように頭を下げ、手に入れたのだ。