秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

二十時頃になり、なにか口にしておかないと明日復帰できないと思っていると、突然チャイムが鳴った。


「はい」


ドアホンを取ると、高畑さんの顔が映る。


『俺だ』

「はい。今開けます」


もしかして、心配してきてくれたの?
今の『俺だ』っていうの、彼氏みたいでドキドキした。

慌てて玄関を開けると、サラサラの髪に雪が少し乗っている彼が入ってきた。


「お疲れ様です。雪……」

「あぁ、さっきからまた降ってきた」


そして彼は当然のように部屋に上がる。


「熱は?」

「下がってきました。もう大丈夫です」


私がそう答えると、彼は安心したような顔をして私の額に触れた。


「飯、食ってないだろ」


それから彼は私にコンビニの袋を差し出す。
< 54 / 370 >

この作品をシェア

pagetop