《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
③12時のランチ
***
たくさんの寄り道をしたせいか、レストランにたどり着いた頃には、12時を回っていた。
「ほら、腹減ったろ、選べ」
「選ぶ?」
乱暴に投げられた細長い板紙を受け取る。
見開きになっていて、開くとそこには、メニューと書かれていた。
野菜たっぷりサンドイッチ、チーズハンバーグ、卵ふわふわオムレツ………。
「………」
どうしよう、どれもこれも、どんな食べ物か分からない。
第一、私は人形なんだし、空腹とか、人間らしい欲求を必要としない存在な…はず。
断言出来ないのは、私自身がどんな存在なのかが分からないからかもしれない。