笹に願いを
「・・・ごめん・・違った。ありがと」
「何が」
「一緒に泣いてくれて。ありがとう」
「俺も痛いからさ、泣けてくるんだよ。ホント、俺・・・こんなんだけど、好きだから。おまえのこと」
「えっ」
「愛してる。笹川織江って一人の女を、そのまんまのおまえを愛してる。俺にとって織江はー・・・やっぱ織江だからさ。離れらんねえよ」
「な、なに言ってんの。わかんなぃ、よ。うっ、うう・・・」
「俺が、おまえのこと愛してるって知っときゃいい。後は俺から離れるな。以上」

重なった手。
彼の温もり。
私の涙は彼のTシャツを濡らし、彼の涙は私の髪を濡らす。

最高のパートナーである私たちは、この時、愛し合う恋人同士として、悲しみと痛みをたくさん分かち合った。

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