笹に願いを
今夜、誰かがうちを訪問してくる予定はない。
しかも「遅い」と呼ばれる時間に。
だから私は、受話器を取ることを躊躇していると、またブザー音が鳴った。
その音に反応するように、私の体がビクッと跳ねた。

もう一回鳴った!
ということは、どこかのお宅に入るために、誰かが片っ端から部屋番号を押してるという可能性は・・・この時間帯だと、逆にないかも。
もしかして、岡部編集長かもしれないと思い至った私は、パッと受話器を取った。

「はいっ」
「あ・・・いた」
「・・・あまの、くん・・・?」

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